平日の午前11時、秋葉原に降り立つ。オタクの聖地は、快晴。風は寒いが、日差しは強いというアンバランスな天候。
ヤマギワソフト館へ向かい、本日整理券配布開始のあるJr.アイドルさんのDVD発売記念イベントの予約。代金を払うと整理券はゲットできたが、商品がない。店員の話では、商品の到着が昼の12時以降だという。今日はこれから友人のブロガー五十嵐三平君と食事をする予定なので、ちょっと困る。仕方ない、三平君には申し訳ないが、食事後にもう一度秋葉原に付き合ってもらうしかないか。
整理券の番号は十番台。平日の午前中にすでに十数人が予約にきているわけで、無職の私が言うのもなんだが、彼らは仕事をしているのだろうか。
秋葉原から御茶ノ水に移動。神保町の書店『書肆(しょし)アクセス』へ向かう。ここで『昭和プロレスマガジン』というプロレス研究誌(同人誌?)を買うため。ネットで存在を知り、一度読んでみたかったのだ。ネットで購入できるのだが、実物を見てから買いたいと思い、取り扱いをしている『書肆アクセス』へと参上したのだ。ここは少部数の雑誌や地方出版社の本などを扱っている書店だ。

↑『書肆アクセス』。
『昭和プロレスマガジン』は現在まで10号を数え、アクセスには第3号から数冊置いてあった。オフセット印刷で、モノクロの本だ。内容を見て、とりあえず第3号を選んだ。「昭和40年代の全日本プロレス」の特集号。
さらに『彷書月刊(ほうしょげっかん)』という雑誌を求める。この雑誌は、古本と古本屋に関する情報誌。20年以上の歴史のある雑誌らしい。最新号はフリーライターで古本マニアの岡崎武志さんの特集号。私は岡崎さんのファンなので、読みたくて購入。
本屋や古本屋が好きな私だが、困ることが一つ。汚い話になるけれど、書店などに行くと必ずと言っていいほど、大便をもよおすのだ。本のインクの匂いが好きなのだが、それが充満しているとどうもしたくなる。今日もそうだった。アクセスにはトイレはない。急いで会計を済ませ、近くの三省堂書店のトイレに駆け込み、事なきを得た。スッキリ〜。
午後1時少し前、渋谷駅のハチ公前へ。五十嵐三平君と落ち合う。以前彼と行って再訪を約束した、『とりかつ』で食事をするのだ。
先ほどの神保町は、昼時でサラリーマンやOLで飲食店はごった返した。たぶん『とりかつ』もそうだろうと、時間をずらす意味で『まんだらけ』へ行こうと私が提案。さっそく『まんだらけ』へ。探していたマンガや欲しいマンガがボコボコ出てくるが、今日は我慢だ。20分ほど時間を潰して、いざ『とりかつ』へ。

↑『とりかつ』。
こじんまりとした店には、L字型のカウンターに数名のサラリーマンやOLさんがいた。角に一つだけテーブル席があり、我々はそこに腰を落ち着ける。店員さんは、前回とは違い、オジさんとオバさんの二人組。店内のテレビでは、『徹子の部屋』が流れていた。
今回はとりかつとハムかつの定食を注文。三平君も同じ。それと前から母が食べたいと言っていたので、テイクアウトで同じ物を注文。
麦茶のポットがあるのだが、コップがなかった。私が店員さんにコップ下さいと言うと、調理に忙しくて手が回らない。そしたらサラリーマン風の方が、コップを2つ持ってきてくれる。常連さんなのだろう。忙しい店員さんのフォローをしてくれた。人情も生きている、庶民派のお店だ。
10分ほど待つと、来ました。とりかつとハムかつが、ドンとお出まし。かなりのボリュームで、650円也。嬉しいじゃありませんか。とりかつもハムかつも、食べやすい大きさに切り分け、皿の上に恋人のように寄り添っている。

↑とりかつ&ハムかつ。
とりかつは、口に入れるとふわふわで甘い肉汁しみ出る感じ。さて、ハムかつは、と。ハムにしっかりと弾力があり、少し塩気が多くて、ご飯は進む味だ。良い感じ。とりかつ、ハムかつ、交互に口に運んで、味のコラボを楽しむ。味のワンツーパンチが、頬に幸せを運ぶ。

↑幸せの断面。
とりかつだけでも一人前あるので、ハムかつもあると二人前はある。それでご飯との配分が合わなくなる。揚げ物が3分の1残った時点で、ご飯終了。残ったとりかつとハムかつを楽しむ。
うん、ごちそうさま。三平君も満足した表情だ。油物が多かったが、揚げ方にコツがあるようで、軽くふわっと仕上がっているので胃にもたれない。いやぁ、良い味、良い店だなぁ。
さて、渋谷から今度は秋葉原へ逆戻り。今日のうちにヤマギワでアイドルDVDを受け取っておきたいからだ。三平君におつき合い願った。彼にはいつも私の趣味に付き合ってもらい、とてもありがたく思っている。
ヤマギワソフト館で、無事DVDを受け取る。その後一人ならば、秋葉原内のオモチャ屋を巡回するのだが、三平君を引きずり回すことにもなり、寄り道は一軒だけに。ヨドバシカメラだ。

↑『ヨドバシカメラ』。
実は今日はバンダイのウルトラマンシリーズのソフビ、『ウルトラの父』と『ハンターナイトツルギ』の発売日なのだ。軽く売れ行きがどうなのか知りたかったので、ヨドバシへ足を運ぶと、ウルトラコーナーには、大量の『父』と『ツルギ』。ちょっと見るだけが、実物を見ると辛抱たまらん感じ。定価735円が、510円という安さも魅力。物欲押さえがたく、とりあえず『父』だけは確保した。
三平君は、仏像のフィギュアを一個買っていた。彼はオタクではないが、フィギュアがわりと好きで、たまに買うようだ。仏像なのは、信仰心とかではなく、仏像好きのイラストレーターみうらじゅんさんのファンだからだろう。
お互い欲しい物が買え、秋葉原を後にした。向かうは池袋。ここで、ドトールにでも寄って、少しダベろうという計画。
ドトールでは、楽しいバカ話に花が咲く。隣の席の女子大生風3人組が去ると、おもむろに三平君は、先ほどの仏像フィギュアを取り出す。女の子達が側にいると、なんとなく出しづらかったのだろう。商品はブラインドボックスだから、開けてみないと中身が分からない。はたして、どんな仏(ぶつ)が出てくるか、彼も私も気になった。
8cm大の金色の仏陀の涅槃像が出てきた。有名な寺の文化財的な仏像のミニチュアではなくて、単に仏像なのね。顔の作りが微妙で、全体の造型もどこか微妙さが漂う。三平君は、その微妙でゆるい造型の感じを逆に楽しんでいた。みうらじゅんのファンらしい楽しみ方だ。私もみうらさん好きだから、その感覚分かる。私から見るとなんていうか、魂がこもっていない仏像って感じ。パチモンの仏像というか。
それにしても、波長が合う人との会話は、精神的に安心する。普段一人でひきこもっているので、こういう機会は本当にありがたい。生で語り合うことができる喜び。
別れ際三平君は、「また東京に来る時は知らせて」と言ってくれて、ありがたいなぁと感じている。これからもよろしくおつき合い下さい。
アイドル、プロレス、古本、『とりかつ』、オモチャ、そして何より気の合う友人。好きな物や人に囲まれ、満たされた気分で帰路についた。5月の風に乗って、ぶらりオタク旅。