2014年06月07日

映画『キカイダーREBOOT』

 映画『キカイダーREBOOT』を観てきました。

 東京の、新宿バルト9にて。梅雨入り間もない、大雨という生憎な天候でしたが、場内はほぼ満席。

 以下、ネタバレあるので、未見の方ご注意下さい。




 1972年にテレビ放送された、石ノ森章太郎原作の特撮ヒーロー『人造人間キカイダー』が、42年の時を超えて、リメイクされたのが本作です。

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↑『キカイダー REBOOT』パンフレット表紙。

 私は幼い頃『キカイダー』を観ていたし、私以外の、現在45〜55歳くらいの昭和男子も観ていたでしょう。

 同じ石ノ森原作の『仮面ライダー』が、今も新作が製作されているのに比べると、『キカイダー』はリメイクに恵まれなかったのが、残念でした。

 で、リメイク版の本作ですが、結論から言いますと、面白かったです。すごく良かった。

 2013年に角川文庫から発売された、小説家・松岡圭祐の『人造人間キカイダー』が、映画のストーリーの下敷きになっています。

 この小説版を事前に少し読んでいたので、映画がより深く鑑賞出来たように思います。

 この小説版も、原作『キカイダー』の世界観を深くとらえ直しつつ、現代日本を舞台にして、今の日本の政治や経済、科学状況を踏まえて、よく描かれた作品。

 でも映画の話自体は、『キカイダー』を知らなくても、理解出来るようにはなっています。

 光明寺ミツコ(演:佐津川愛美)とマサル(演:池田優斗)の姉弟を、謎の武装集団から守る、青年ジロー(演:入江甚儀)。ジローは、姉弟の父で、ロボット工学の権威・光明寺ノブヒコ博士(演:長島一茂)が製作した、ロボット「キカイダー」だった。

 キカイダー=ジローは、「良心回路」という理性を司る装置があり、その良心回路がやや不完全なため、戦闘時に敵にとどめを刺せずにためらい、能力を発揮しきれていない。

 ジローは光明寺博士のプログラムにより、ミツコとマサルを守るために戦うものの、不完全な良心回路ゆえに苦戦して悩む。

 しかしその不完全さこそが、ロボットながら実は非常に「人間的」であるというのが、『キカイダー』のテーマなんですね。

 つまりジロー=ロボットの感情の揺れを描くことで、人が良心を獲得していく過程を描いているわけです。

 女子大生のミツコは、長年仕事で家庭を、そして自分をかえりみない父=光明寺博士を憎んでおり、そのせいで男性不信となっている。マサルは、ゲーム三昧のきかん坊な少年。

 ミツコは、憎んでいる父が作ったジローに父を重ねて疎ましく思っています。

 ある時彼女は、少女時代に父から自作のアイボ型のロボットをプレゼントされたことを思い出す。今また、父は自分たちを守るために、ジローを使わしてくれたことで、父親の愛情に気づきます。

 同時に機械だと嫌っていたジローに対しても、愛情を感じ始めます。ちなみにジローお馴染みの、あのギターの旋律が、ミツコがジローに心を通わせる大事な場面のBGMで流れて、泣けます。

 もちろんバトルシーンも見応えあり。

 光明寺博士の研究の補佐ながら、彼に嫉妬心を抱く、ギルバート神崎=プロフェッサー・ギル(演:鶴見辰吾)。

 彼は、自らの脳を自作のロボットに移植し、ハカイダーとなり、自分が光明寺よりもロボット技術が優れていることを証明すべく、キカイダー=ジローに戦いを挑む。

 良心回路があるため、ためらうことが多い「機械」のジローに比べ、神崎の脳で動くハカイダーは、なんのためらいもなく破壊・殺戮をするという矛盾。

 どちらが、本当に人間的なのか・・・。良心とはなにかという深遠なテーマ。

 何があってもブレないことを良しとする風潮がありますけど、ブレるということは、実に人間的なこと。色んな要素を考慮して、自分を相対化出来ることですから。

 逆にブレない方が視野が狭く、時として、ためらいもなく非道なことが出来てしまうでしょうし、知的ではないでしょう。

 原作ではプロフェッサー・ギルが大ボスなんですが、本作では、日本政府の国防大臣・椿谷(演:中村育二)が、親玉。

 そもそも椿谷が、「原発処理や介護などの福祉」分野にロボットを導入する名目で、光明寺博士を呼んで研究させてましたが、彼の目的は、領土問題で揺れる日本で、有事の際に、最前線で戦う戦闘ロボットを開発するためだった。

 ミツコとマサルを武装集団に襲わせたのも、椿谷。彼は、光明寺博士がマサルの体内に埋めた、光明寺ファイルを欲していたのだった。

 人間にとって良心とはなにかという深いテーマ、さらに親子の情愛、男女のロマンスという、ウエットなテーマ。

 それらを、今日日本を取り巻くシビアな問題が、物語を下支えしており、本作は重層的なストーリーとなっています。

 服部半平を演じた、原田龍二も、良い味出してます。1972年版では、うえだ俊が軽妙に演じていましたが、原田龍二も、所々その軽さを継承しているような、演技でした。

 半平と言えば、スバル360の通称「ハンペンカー」ですが、本作ではバイクでした。そういえば、ジローのサイドカーは、全く登場しなかったなぁ。残念。

 ああ、それと神崎が作ったロボット・マリ(演:高橋メアリージュン)は、昔の様に、ビジンダーにならないのが、残念だったり。

 ラストは、続編を暗示するもの。

 タイトルの「REBOOT」は再起動の意味ですから、再起動後の展開、つまり続編に期待が高まります。


※『キカイダー REBOOT』予告編と、1972年版『人造人間キカイダー』OP&EDです。

映画『キカイダー REBOOT』予告編

キカイダー


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posted by 諸星ノア at 19:22| 特撮&VFX作品・特撮ヒーロー・怪獣