2014年06月06日

森野達弥著『もがりの首』

 水木しげるの弟子・森野達弥の『もがりの首』(集英社刊)を読了。

 『ゲゲゲの鬼太郎』でお馴染み、水木しげる先生の弟子だけあり、森野先生の画風は、師匠そっくり。


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↑『もがりの首』。

 水木ファンの私としては、そこがツボなので、今回は待望の新刊。

 ただ師匠の作品は、画面がどこかひょうひょうとして、話も淡々と進行しているのが特徴ですが、、森野作品は、ダイナミックで動きのある画面作りがなされています。話も、登場人物の情念を描いているものが多いです。

 さて『もがりの首』は、妖怪のような人型の異形童子・もがりが、非業な死を迎えた者にかわって、妖術を使って恨みを晴らす話。

 印象深いのは、第三話「善意」。

 小説を書いたことがないが大作家だと信じて働かない父親が、代わりに娘を働かせる。娘は父親の才能信じている善意の人なので、喜んで働く。その娘が過労で病死すると、今度は娘婿が義理の父のために、善意で生活費を工面する。

 ところが父はその善意に気づかず、娘婿に保険金をかけて、毒殺する。

 この父親の、働かずに自分の好きなことをしている点が自分に似ていて、考え込んでしまった。

 さすがに私は彼のように、自分に才能があるとか、盲信することはないんですが。それにこんな私でも、両親には申し訳ない気持ちがありますし。

 回りの善意が、人をダメにするという話なんだけども、なかなかに人生の皮肉をよく描いています。

 こういうシニカルな作風も、水木先生譲りかもしれません。

 もっと森野先生の作品が読みたいです。


※プロ野球・セパ交流戦たけなわということで、アニメ『侍ジャイアンツ』(1973年/原作:梶原一騎・井上コオ/東京ムービー)から、第2期OP「王者!侍ジャイアンツ」です。

 いつ聴いても、燃える歌詞とメロディ。

作詞/梶原一騎、作曲/政岡一男、歌/ロイヤルナイツ

王者! 侍ジャイアンツ(full) by ロイヤルナイツ


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posted by 諸星ノア at 19:05| 読書感想(マンガ含む)