
↑『アル中病棟 失踪日記2』表紙。
マンガ家・吾妻ひでお先生(1950年生/現在63歳)が、2度の失踪体験を漫画化した『失踪日記』が2005年に発売。一般的な話題を得て、手塚治虫文化賞マンガ大賞など、多数の賞を受賞。
その『失踪日記』から、8年かけて350ページ描き下ろした続編が、『アル中病棟』です。
アルコール依存症=アル中になった吾妻先生が、1998年、家族の手で強制的に、東京・三鷹の某アル中専門病棟に入院させられます。
そこからの3ヶ月の入院生活を、吾妻流のギャグ仕立てで、描いた作品です。
傑作!
アルコール依存症の知られざる世界が、マンガによって一目で分かります。
基本はノンフィクションですが、関係者が多く登場することから、虚構・脚色を加えてます。そのフィクションの混ぜ方が絶妙というか、さじ加減が良いですね。周囲に配慮しつつ、底意地の悪い笑いをちょっと入れてくる(笑)。アル中現場は実際はかなり悲惨らしいですが、先生のギャグはどこか達観としてカラッとしているので、悲惨さを薄めています。
やはり、ギャグで一時代を築いたマンガ家の腕の高さでしょう。
先生の主治医に、専門的な監修を受けるという、先生らしくない真面目さ(失礼!)が、医学関係者の鑑賞にも堪えうる作品ともなっています。
アルコール依存症について描かれていますが、広く「依存症」の問題としても、受け止められました。
私も長く引きこもっている関係で、家族との共依存関係には関心があます。本書219Pで、他者との健康な依存の状態のありかたを描いている場面は、参考になりました。
引用しますとー
「依存症になる人は、過剰適応的性格の人に多く見られ(頑張り過ぎる、高望み過ぎる、頑固すぎる、割り切りすぎる等々)、中庸がない」。だからこそ、「自助グループなどに参加し、家族ではなく仲間を作る。その中で、自己愛(自立)を確立する」。
ここら辺は、吾妻先生が入院生活で読んだ病院のパンフレットを元に描いているみたいですが(苦笑)、実体験があるからこそ、説得力がありました。
アル中に悩むご家族だけでなく、医師や看護師、それと多くの方に読んで欲しい作品です。
もちろん、吾妻ファンにも楽しめるよう、登場する看護婦さんは、全て美少女・美人となっております(笑)。安心の、アヅマ・クオリティー。
※アイドル時代の菊池桃子のナンバーで、「Say Yes!」(1986年)です。
この歌、好きでした。カセットテープに入れて、何度も聴いてました。アイドルソングの魅力は、歌唱力だけでは決まらないもんです。控えめで、タヌキ顔のルックスも好みでしたし。
今更ながら、私は彼女と同い年なんだよなぁ・・・。
作詞/売野雅勇、作曲/林哲司、編曲/林哲司。
Say Yes!
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