
↑『蔵書の苦しみ』表紙。
フリーライターで書評家の著者は、筋金入りの古本マニアです。毎日のように、古書店やブックオフを巡って、本を買っておられます。
私はそんな岡崎さんの、古本関係の著書のファンで、結構読んできた流れで、本書も読みました。
岡崎さんも、ついにというか、蔵書を減らさないと、自宅が本で埋もれてしまう危機感があったよう。
10年前のある新聞記事で、木造アパートの2階に住む初老の男性が、溜めすぎた雑誌の重みで、アパートの床を落とした事件があり、それを読んだ岡崎さんは、他人事ではないと感じたそう。
さらに、あの東日本大震災。自らの蔵書の下敷きになりかねない危機を痛感したようで、蔵書を処分する決意をします。
私も自室に本が溢れているので、本好きが本を処分する苦しみの過程が、他人事に思えなかったです。
まずは、2千冊を処分。
それでも減りが足りないので、著者が大好きな文学関係の文庫を、信頼を置ける古書店の方に、好きなように抜き取って言って、1,200冊処分。
しかし心血を注いで集めた愛しい本がなくなる喪失感が酷く、著者曰く「血を流す」思い。
翌日また古書店で本を買って、ようやく心が安定したという・・・。 とにかく本が欲しい、本買いの病。売った時の喪失感は、そうとう酷いらしい。分かる分かる・・・。
色々、知り合いの協力で場所を借り、個人の古本市を開いて、知人や古書マニア達に、買ってもらって、三千冊処分。それでも蔵書全体の、5〜7%くらいだとか。
処分の要諦は、「えいや!」の気合い。
私も10年以上前、自宅を新しく建て替える際に、一時的に近所のアパートに両親と引っ越しましたが、その際父に、「本を見ないで、処分しろ!」と言われました。
それが出来ず、ダンボール100箱くらいに本やおもちゃ、ビデオテープなどを入れて、避難しました。
でもあの父の「見ないで処分しろ」というのは、岡崎さんの「えいや!」の気合いで処分するのに、通じています。
ようは、未練を感じる間を与えないこと。
ただ岡崎さんの言葉に共感するのは、彼は本が好きでたまらない人だからです。
父は、マンガはともかく、活字の本を一冊も読まない人種で、そういうものがくだらないと考える人だから、納得出来ないんですね。
私の部屋は、2階にあるんですが、私もいつ、床を抜くか分からない。特に巨大地震が起こる可能性が高い現在、私も「血を流す」思いをしなければならないでしょう・・・。
それに、今は両親がいる一軒家にいますけど、いずれ一人になった時、今持っている蔵書を全て維持出来ないでしょうし・・・。
色々身につまされる本でした。
※アニメ『空手バカ一代』(1973年/東京ムービー)から、ED「空手道おとこ道」です。
時々聴きたくなります、押忍。
作曲・編曲/小谷充、作詞/梶原一騎、歌/山崎照朝・ロイヤルナイツ。
空手道おとこ道 山崎照朝
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