2013年04月15日

今柊二著『ガンダム・プラモデル進化論』

 今柊二著『ガンダム・プラモデル進化論』(祥伝社新書)を読む。






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↑『ガンダム・プラモデル進化論』。

 アニメ『機動戦士ガンダム』のプラモデルが、ガンダム・プラモデル。通称ガンプラ。

 そのガンプラの創世の1980年から、2005年までの進化の歩みを記したのが、本書です。

 著者の今柊二は、1967年生まれ。関東を中心に、全国の定食屋をめぐった著書で知られています。私もそちらの本で親しんでましたが、実は今さんは、模型文化研究家でもあったようです。

 今さんは、1980年の最初のガンプラ・ブームを経験されてますが、私も彼と一歳違いなので、同じ体験をしています。

 ですから、共感を持って読むことが出来ました。

 私は高校受験くらいから、ガンプラというか、プラモデルから遠ざかって今に至りますが、今さんはその後もガンプラの進化を見続けたようです。

 ですから、私の知らない、ガンプラの開発・進化の歴史を、この本で知ることが出来ました。

 本文は250ページあり、ほぼ全編にわたって、ガンプラ賛歌というか、メーカーのバンダイへの賛歌が綴られてますが、私が心を動かされたのは、あとがきの2ページでした。

 そこには、1980年代に、今少年が、ガンプラを自分流に塗装したり、改造したり、想像力をふくらませていたという体験談でした。

 ガンプラの歴史は、つまりユーザーの組み立ての苦労をとことん省略し、現在では接着剤不要で簡単に組み立てられ、プラパーツは予め色分けされているので、色を塗りもしないですむようになっています。

 これは、ユーザーの購買層を広げる意義はありましたが、反面想像力を削いでいる面は否めません。

 自分流に塗ったり、改造したり、自分流の解釈を働かせるところに、本来の物作りの楽しさがあるでしょう。

 今は効率を求め過ぎるせいか、正解が一つで、それ以外は間違いみたいな風潮があるような感じですが、それはプラモデル作りでも、同じではないでしょうか。

 私も自己流で粘土人形を作ってますが、いつもプロの造形物という「正解」と比較してしまって、自分の下手さ加減にガックリしています。

 それでも性懲りもなく時々粘土をこねてしまうのは、下手でも「自分で一から」作ってみたいんです。自分なりの形にしたいというか。

 そこには本来、正解はないはずで、自分自身で悪戦苦闘するところに、創造の面白みがあるんだと思います。

 なんか私を引き合いに出してしまいましたけど、今さんが少年時代に、ザク(ジオンのモビルスーツ)を黄色に塗って、工事用ザクとしたり、ガンダムを黒白に塗って、警察ガンダムとしたりするとい箇所が、本書で一番風通しの良い表現と感じ、共感したのです。設定通りに塗らなくても良いんですよね。

 ガンプラの進化の次は、1980年代の少年が、どういう改造をしていたか、そういう体験談や苦労話とかを本で読んでみたいですね。


※バンダイのガンプラのCMです。

 往事のガンプラブームを伺わせるCMです。懐かしいですな。

MOBILE SUIT Gundam ガンプラCM


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posted by 諸星ノア at 21:36| 読書感想(マンガ含む)