
↑『宇宙戦艦ヤマト2199』第2巻。
絵が綺麗で古くささがなく、現代感覚のヤマトに生まれ変わった感じ。
私は宇宙戦艦ヤマトのブームの洗礼を受けた、「ヤマト世代」ですけど、あまり違和感なく読めます。
ヤマトと言えば、原作は西崎義展と、総設定の松本零士。
ヤマト世代の私から観て、西崎さんが近年作ったヤマト作品には、違和感がありました。ともかく、やたら殉死を美化するので。
また松本先生が独自にお描きになった、新宇宙戦艦ヤマトも、正直退屈でした。前置きがやたら長くて話が遅々として進まず、ご自分の思いだけで描かれていて、読者のことを考えてない感じでした。
皮肉にも、原作者が作ったヤマトは、どうもしっくり来ない。
この作品は、2013年テレビ放送開始予定のアニメ、『宇宙戦艦ヤマト2199』を漫画化したものです。
アニメは、アニメ&特撮関連のメカデザイナー・出渕裕が総監督を務めていますが、出渕さんはヤマトファンクラブ=「ヤマト・アソシエイション」(会長は現在アニメ研究家の氷川竜介氏)の会員でもありました。
つまり、ファンが一番観たいヤマトは、ファンが作った方が良かったということでしょう。
マンガ版である本作も、大元のヤマトの世界感を守り、さらに深化させていて、非常に好感が持てます。
さらに敵である、ガミラス星の軍人達にも、いかにも悪人という描き方ではなく、人間として描いている。それぞれの事情を抱えた、国と国との戦争なんです。
さらに、艦首波動砲の威力に、「これならガミラスと対等、いやそれ以上に戦える!」喜ぶ若い部下に対して、沖田艦長は「ヤマトの目的は、殺戮と破壊ではない」とたしなめる威厳。
ヤマトの目的は、イスカンダル星に行って、放射能除去装置=コスモクリーナーDを受け取り、地球に生還すること。しかも1年以内に。
生きて還るという使命が、ヤマトは「戦艦」でありながら、兵器的な側面が中和されている。
これは、実質的な軍隊でありながら、「自衛隊」と位置づけている、戦後日本のメンタリティーとも、無縁ではないと私は推察します。
ですから、「防衛軍」ってのは止めて欲しいなぁ、アベさん。
沖田艦長の倫理観。これは、日本人は忘れちゃ行けないと思う。
それと、森雪が造花で花束を作り、火星で亡くなった御霊に向けて、宇宙に花束を放つシーン。丁寧に描かれて良い。こういうシーンが、戦争物であっても、救いになります。
今後の展開も楽しみな、宇宙戦艦ヤマト2199です。
※アニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』の「第四章 銀河辺境の攻防」プロモーションビデオです。
『宇宙戦艦ヤマト2199 第四章 銀河辺境の攻防』プロモーション・ビデオ
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