
↑『ぼくらの昭和オカルト大百科 70年代オカルトブーム再考』
著者の初見健一は、1967年生まれ。1970年代からの昭和キッズカルチャーを取り上げる本を、多数手がけています。著書に、文庫『まだある。』シリーズなど。
私は初見さんと年齢が一つ違いなので、共感出来る内容の本が多い。
本作は、特にオカルトに特化した本であり、私も好きなジャンルなので、早速読んだ次第です。
著者とほぼ同じ年齢なので、この本で取り上げられているオカルトブームの事象は、記憶にあることが多いです。
ここで70年代のオカルトブームというのは、本書によればー
『ノストラダムスの大予言』に端を発し、ツチノコ騒動、ネッシー&イエティ&ビッグフット、オリバー君来日、ユリ・ゲラーのスプーン曲げ、UFO、心霊写真&『あなたの知らない世界』(日本テレビ)、コックリさん、口裂け女、などを取り上げています。
ただ、当時の私は、かなり恐がりだったので、テレビでやっていたオカルト番組は、積極的に見ることはなかったです。
一度イエティだったか、とにかく雪男特集の番組(東京12チャンネル=テレビ東京だったな)を父が寝床のテレビで見ていたんですが、一緒に寝ていた私は、テレビに背を向けてました。でも音声を聞いているだけで、身体が硬直して、脂汗が出たことを覚えています。
私がオカルト番組を積極的に観るようになったのは、20歳過ぎてから。恐怖に、ある程度耐性が出来た頃です。
それでも少年時代にあった数々のオカルトネタは、意識しなくても見聞きしてしまうことが多く、その最たるモノが、口裂け女騒動。
小学5年生くらいだったか、ある朝教室に向かうと、口裂け女の話題で持ちきりで、そんな猟奇的な女性が近くを徘徊しているのかと、地獄にたたき落とされた気持ちでした。
著者の初見さんは、この口裂け女から、オカルトの世界が変わってしまったと指摘しています。
それまでのオカルト番組及びネタは、見せ物小屋の延長で、家族でギリギリ見られるほどの、牧歌的でエンタテインメント性があったと言う。
ところが口裂け女は、その女性の行動の結果が、子供が殺害されたとか、実際にはそんなことはなかったのだが、事の顛末において、現実の事件になってしまう。
オカルトという向こう側の世界が、現実に帰結してしまう。
その後、オウム真理教による地下鉄サリン事件へと至り、オカルトの世界に身を置いてしまった人間が、現実に殺人事件を起こしてしまったことで、オカルト的な内容は危険視され、テレビからオカルト番組が、ほぼ一掃されてしまったと、初見さんは語ります。
私は、オカルトの世界に、どこか現実逃避的な、ロマンを感じていて、矢追純一UFO特集とか、稲川淳二の怪談など、大好きなのです。
でもそこにどっぷりつかることはなく、現実に戻る足も持っていた気がします。そう言う類を、ツッコミながら見るというスタンス。
ただそれは20歳過ぎてからのスタンスで、子供時代だったら、そんな疑義は挟めなかったかもしれません。
先日TBSラジオの『ニュース探求ラジオ Dig』という番組で、1980年代以降、教養主義が崩壊していったという指摘がされてました。
岩波文庫で古今東西の名著を読んでり、いわゆる一般教養的なことを軽んじ、自分の好きなことだけを勉強したりする流れですが、それが今日の教養のない日本人を作ってしまったという話(だったかな)。
こういう一般教養の低下と、現在のオカルトの受け皿になっている、スピリチュアル世界みたいなのが、裏表にあるんじゃないかと、私は考えます。
教養の低下が、科学的というか広い視野で判断することを困難にして、安易に心霊的なものを信じやすくしてしまう感じ。
私自身もまた、1980年代以降の学生だし、勉強が嫌いだったので、一般教養は乏しいです。私もまた、オカルト世界に心を惹かれやすい。
そのことが一概に悪いってわけではなく、周囲に迷惑がかかるくらいの影響を受けるとなると、問題になるでしょう。占い師に洗脳された某お笑い芸人とか。
今はネットが発達し、個人個人が、自分の好きな人物や分野にだけアクセスを集中させる時代。一方で一般教養は落ちている。
となると、批判性もなく、ハマる人は、とことんオカルト世界にどっぷり浸かる危険性が大になるでしょう。
変な言い方ですけど、70年代くらいの、家族でオカルト番組を観ていた頃の方が、「こんなの嘘だよ」とか言い合える開かれた空間で、それは健全だったなと思えてきます。
もしかしたら、オカルト的な物をタブーにして、陰に追いやることでマニアック化し、結果としてオカルトの濃度を濃くしてしまうことが、有害になるかもしれませんね。
なんか、まとまらない文章になってしまいました。私に教養がない証拠ですね(汗)。
ともかく、アラフォー世代のオカルト好きには、懐かしく楽しい本です。
※『ガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)から、板尾創路「イッツジーショッピング」です。「勃起王」の宣伝(笑)です。
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