2011年10月03日

『古本屋になるには2011』レポート前編

 『古本屋になるには2011』という講座に参加してきました。

 場所は、東京・神保町にある、東京古書会館7F。主催は、東京古書組合。



 本や、古本が好きなので、古本屋ってどうすればなれるのか、少し興味を持っていたので、話だけでも聞こうと参加しました。

 会場には、100名くらいの参加者が集まっています。盛況。中年男性が多いですが、20〜30代くらいの女性もけっこういます。参加費は、無料です。

 講座の開始時刻は、午後1時より。

 全体は二部構成で、第一部は、基調講演。第二部は、座談会となっております。

 基調講演は、4名の古書店主が、20分くらいずつ講演を行います。

 すなわち、古本うさぎ書林店主・芳賀健治氏、有限会社よみた屋店主・澄田喜広氏、奥之庫店主・奥野浩史氏、愛書館中川書房店主・中川哲氏。

 古本うさぎ書林の芳賀健治氏の講演は、古書組合に入ることにメリットについて、語られました。

 古書組合に入るには、ざっと50万円くらいかかるんですが、それまでして入る意味とは?

 それは、市場=古書交換会に参加できることだそうです。

 古本の市場は、古書店が古本を持ち寄り、それを売ることが出来る。一方で、自分の店に欲しい本を、そこで買うことができる場です。

 大量の在庫を処分したい場合、手持ちの本を換金したい場合など、色々メリットは多いようです。

 また組合に入ると、ネットの古本サイト、『日本の古本屋』に参加可能になるのも、利点です。

 よみた屋の澄田氏は、1980年代〜2010年までの、古本屋の歴史、それと古本屋経営にまつわる、数字の話、さらに店のコンセプトの話でした。

 澄田氏の説によれば、古本市場の状態は、20年前の新刊本市場の状態で決まるらしい。すなわち、2000年の古本市場は、1980年の新刊本市場の状態を反映している。今は、大量出版の時代は終わって、少部数多品種の時代になったらしい。

 そんな中での、古本屋の起業というのは、いかにコンセプトをハッキリ打ち出すかにかかっているという。言葉にハッキリできる、明確なコンセプト。

 氏の提案としては、まずはセレクトショップ。店主の個性とセンスを全面に出した本をセレクトして、売っていく。店主の個性を売る古本屋。一般書(誰でも読む本)は、おかない。例えばマンガなら、『ONE PIECE』ではなく、青林工藝舎系(『ガロ』系ですね)の作品をセレクトする。店主には、特異なタレントが求められる。

 もう一つは、発見型古書店。まだ流行ってないけど、これから流行りそうな本を数多く取りそろえ、お客様に本を「発見」してもらう古本屋。それには、ともかくアンテナを張り巡らし、流行を素早く捕らえる。そして本の量を確保し、お客様に発見しやくするレファレンス機能を特化させる必要がある。それと数を売らねばならないので、売るスピードが早いことが大事。

 価格調査も大事で、市場の適正価格か、常に調べる必要がある。

 澄田氏の提案する古本屋は、なかなか専門的で、社会性のほとんどない私には、非常にあくせくしなければやっていけない印象を受けました。

 奥野浩史氏は、インターネットサイト「日本の古本屋」(ココです)の紹介と、参加のメリットの話。

 それと、繰り返しですが、市場=交換会に参加できることのメリット話です。ここでは、色々な人との出会いがあって、情報源にもなるということです。

 中川哲氏の講演は、市場の紹介です。東京古書組合で行われている、様々な市場=古書交換会の解説です。

 すなわち、一新会(一般書籍の交換会)、東京古典会(和本の交換会)、東京洋書会(洋書の交換会)、東京資料会(官公庁が出した報告書や学術書などの資料、紙物などの交換会。戦前戦中物が人気だとか)、明治古典会(明治時代の出版物の交換会)。

 さらに東京・南部支部交換会、北部交換会、高円寺交換会。

 ここでは、交換会の様子を写真や映像で紹介してくれたので、様子が分かります。本を競り落とす様子なども、流されました。

 古書組合に入り、さらに交換会の運営に携わると、雑用や力仕事が多くて大変なんだそうですが、色んな古書店主と顔なじみになれて、情報を得ることが出来たり、どこの書店がいくらで落札したか、デパートや各地で行われる古書即売会に声をかえてもらるなど、メリットは大きいようです。


 ここで基調講演は終わり、10分間休憩。

 引き続いて第二部、座談会です。

 
ー『古本屋になるには2011』レポート後編に、続きます。


※松田聖子のナンバーで、「風は秋色」(1980年)をどうぞ。

 作詞/三浦徳子、作曲/小田裕一郎、編曲/信田かずお。

松田聖子 風は秋色


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posted by 諸星ノア at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 古本
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