たばこと塩の博物館に向かう道は、上り坂なので、体力の衰えた私には、きつかった。加えて今日は、良い天気で、暑い暑い。

↑たばこと塩の博物館。
今回は、入館料がタダ。
というのは、理由があって。
展覧会では期間中に、和田誠さんのトークショーが行われるんですが、それに参加したいので、申し込んだんです。往復はがきで応募するんですが、返信はがきには、抽選に外れたことが記されてました。ガックシ。
しかし、そのハズレの返信はがきで、展覧会を無料で観られることが記されていたのです。
それで、今回はそのハズレはがきで、無料にて観られるのデス。
ちなみに、入館料は、300円です。
さて、展覧会ですがー。

↑ポスター。色指定の指示書きをそのまま、ポスターにしてます。
たばこと塩の博物館の4Fにて、行われております。
あっ、和田誠さんについてはご存じの方も多いでしょうが、日本イラストレーション界の大御所です。
この展覧会では、「たばこ」をテーマにした作品のイラストや、映画や演劇のポスターなどの作品を展示しております。
和田さんが、多摩美術大学を卒業し、銀座のデザイン会社に入社した1959年、たばこの「ハイライト」のパッケージデザインを手がけました。それがきっかけで、たばこの「Peace(ピース)」の広告のイラストなどを描いたりしてました。
今年はそのハイライトが発売されて50年ということで、たばこと塩の博物館から、和田さんに展覧会のお誘いがあったということらしい。
そんなわけで、1960年代に手がけたピースの広告イラストを、今回新たにカラーで描き下ろしております。

↑ピースのイラスト。
また、往年の洋画から、映画スターとたばこというテーマで、カラーイラストを描き下ろしています。
画材は主に、アクリルガッシュのようですが、明快な色遣いと可愛い絵柄は、衰えを知りませんね。瑞々しい。作品が枯れてません。今年で74歳とは思えないです。
面白かったのは、ビデオコーナー。
和田さんのイラスト制作の現場を撮影したビデオを流していたのです。今回の展覧会用のイラストを描いている映像です。
和田さんは、紙にぶっつけ本番で、鉛筆で下絵を入れてます。裏から絵を透かしてデッサンの狂いとか、一切確認しない!それでもヘーキ。すごい!
下絵が終わると、アクリルガッシュで、サクサク塗り始めます。それも太めの面相筆で、ほとんど塗ってしまいます。匠の技ですねぇ。
細か〜い部分などは、細筆を慎重に使ってます。手も震えず(失礼!)、実にしゃんとした筆遣いです。
映画スター、ハンフリー・ボガートを描いている映像では、資料の写真をそのまま模写しているのに驚き。写真には著作権があるかと思うんですが、そういうの大丈夫なんでしょうか。
似顔っていうのは、似せるために試行錯誤するもんですが、似顔の達人、和田誠は、そんな苦労もなし。ぶっつけ本番で、キャンバスにダイレクトに下絵を入れて、グイグイと色を塗っていきます。
私の下手な経験談なんですが、似顔って、一発目に描いたのが、似ている可能性が高いんです。描き直したり、下絵を描き写したりしているうちに、モデルから離れていく。
ですから、和田さんのぶっつけ本番で描いてしまうやり方は、似せるためには、有効なやり方なのかも。
でもまぁ、相当手慣れないとダメか。素人は、一発で似せられないもんねぇ。
クジラのイラストを描く映像では、描き終わってから、クジラの胸びれがないことに気づいて、図鑑で確かめて、描き足してました。そういうちょっとした失敗を見ると、天才でもそういうことがあるんだって、安心しますね。
この制作ビデオのアイデアは、素晴らしい試みでした。絵の制作を見ると、展示されているイラストへの見方も、深くなっていきます。ああやって描いているだなって、絵画鑑賞に奥行きが出て、展覧会が立体的になりますね。
ともかく、この制作ビデオは、和田誠ファン必見。また、イラストレーターになりたい若い方にも、勉強になると思います。今回の展覧会の目玉は、個人的には、このビデオでした。
会場内は空いていたので、ゆっくり絵を鑑賞できて、良い感じ。
たばこ税が値上がりしましたけど、まだたばこに寛容だった時代の、平和でユーモアのあるイラストが見られる展覧会です。
和田誠74歳、未だ衰えを見せず。ますます意気軒昂な、和田さんの作品群です。

↑展覧会用ポスターの、色指定後のイラスト。
※和田誠さんのお友達、清水ミチコさんのものまね芸で、お楽しみください。クッキングバトル、ジュディ・オングvs平野レミ。
平野レミは、和田さんの奥さんです。
クッキングバトル / 清水ミチコ
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