2007年01月28日

勝川克志原画展

 東京・阿佐ヶ谷。初めて下車する駅だ。目指すは、対山館(たいざんかん)。画廊喫茶。ここでマンガ家の勝川克志先生の、原画展が行われている。本日は、先生がいらっしゃるということで、勇んでやってきた。

 対山館は、とっても小さな喫茶店だった。一度は前を通りすぎて、気づかなかった。まことに、慎ましい外観である。入ると、席は10席ほどしかない。壁に、先生のカラー作品が、展示されている。喫茶と画廊部分が分かれているのかと思っていたが、渾然一体となっている。

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↑対山館外観。

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↑告知ポスター。

 ヒゲのおじさまがいて、先生かと思って声をかけたが、人違いであった。ごめんなさい。とりあえず、展覧会案内状に美味いと記してあった、カレーセット(カレー、サラダ、飲み物)を注文する。周りはほぼ満席である。壁の振り子時計は、午後1時半。ゆっくりと時間を刻んでいる。

 カレーライスは、お店で出すカレーとしては珍しく、ジャガイモがゴロゴロ入っている。私はジャガイモ大好きなので、こうでなくっちゃと思う。カレーはちょっと甘口だったので、辛党の私にはちょっと物足りない感じではあった。でも、家庭的なホッとするカレーである。お店の雰囲気同様、慎ましい感じのカレー。東京のカレー店は、体外パンチの効いた味が多いので、こういう優しいカレーは貴重だろう。

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↑カレーセット。

 カレー完食後、飲み物のブレンドコーヒーをすする(飲みのはチョイスできる)。先生が来そうもないので、なんとなく黙って待っているのも気まずい。思い切って、隣に座っていた青年に声をかけてみた。彼は、聞けば大学生ということで、驚いた。先生に失礼だけれども、こんな若い読者がいるんだって。児童書の挿絵で先生を知り、それ以来ファンなのだそうだ。

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↑セットのブレンド。

 店のご主人によれば、先生は今日の朝までお仕事で、お昼過ぎまで休んでいらしたそうだ。到着は、午後3時頃だという。参った・・・。今日は午後4時から神保町・書泉にて、アイドル・彩月貴央ちゃんの写真集発売記念イベントに参加の予定。しかし完全にこちらの都合・わがままなので、先生はなんにも悪くはないのだけれど。先生にお会いして、持参した著書にサインを頂きたいし、そんなチャンスはこれが最初で最後だと思うので、先生の到着を待つ。時に、午後2時半。

 店内が少し空いてきたので、カラー原画に近寄って、拝見。プロだから当たり前だが、全く修正の跡がない。一発で、バチッと描かれている。彩色の筆運びも、全く迷いなくスッキリ塗っている。プロはすごいなぁ。

 一枚一枚、それぞれに世界があり、物語がある絵で、宝箱のような小宇宙がたくさん展示されているようだ。展示原画は、同時に販売もされており、もうほとんど売却済みとなっている。私もお金があれば、手元に置きたい絵達。先生は一点一点精魂込めて描かれているのが分かるので、子供を手放す心境なのではないだろうか。

 いよいよ、勝川先生がご到着。丸っこいふくよかな自画像を見ていたので、実物はアゴがシュッとした体型なのに驚いた。早速先生に、アタック。

 すると先生は、私の名前(本名)をご存じで恐縮だった。先生主催のミニコミ『のんき新聞』の読者であり、年賀状を差し上げた時のイラストで覚えて頂いたようだ。交遊が広い先生に名前を覚えて頂いて、とても嬉しい。

 すかさず、持参した著書にサインをしていただく。今にして思えば、到着早々休む間を与えなかったのは、失礼だったけれど。『ひらめきラメちゃん』(ふゅーじょんぷろだくと)、『まぼちゃん旅行記』(ヒット出版・絶版)、『豆宇宙珍品館』(たざわ書房・絶版)、それと『ぜんまい小僧』(出版社名、難しくて読めません。絶版)。この『ぜんまい小僧』は、この日対山館にて売られていた本で、持っていなかったので、これ幸いと購入。すでにサインが入っていたが、日付を入れて頂く。

 先生は、サインの他に小さなカットを添えて下さり、とても対応が丁寧で嬉しかった。作風と同じで、優しい方なのだ。記念のサインとなった。

 笑顔で気さくに話もして下さり、大変嬉しかった。最後にガッチリ握手。気がつけば、店内のほとんどのお客が、先生のご本を取り出して、サインを待っていた。大学生の彼も、持参している。ファンの人は、考えることが同じです。

 もうすぐ4時。急いで神保町へ行かねば。先生と、大学生の彼(話題の乏しい私の話し相手してくれて感謝)に挨拶して、その場を後にした。イベント開始には間に合わないけれど、全然大丈夫。心温まる出会い・交流で、心は軽やかであった。小春日和の夕暮れ近く。

―続きます―

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posted by 諸星ノア at 21:40| Comment(4) | TrackBack(0) | 展覧会めぐり
この記事へのコメント
こんばんは。

記事と関係ないコメントですみませんが、いただいた年賀状『2007年賀状(イノシシ山)』オリジナリティーがあってとっても良かったですよo(^-^)o

いまギャラリー拝見しましたが、『マンモス アマリリス』(2003)、『雪団子』(2002)が特に気に入りました。

いつか、諸星さんの絵を買いたいです。部屋や玄関に飾って、来客者に自慢したいですね☆(o^-^o)

東京のカレー美味しそうですね。

また伺います。

Posted by たかこ at 2007年01月29日 03:03
勝川先生のマンガは、読んだことがあります。味があっていいですねぇ!
独特のタッチで、週刊連載したら、絵が荒れそうです。勝川先生はマンガだけでは、苦しいそうですね、どんな仕事を掛け持ちしているのでしょうか?
ノアさんのHの絵ほしいです!
Posted by なおたか at 2007年01月29日 18:28
>たかこさん
 年賀状ですが、ご評価頂き、ありがとうございます。自分としては全力で作ったわけではないので、どこか後ろめたくて・・・。

>『マンモス アマリリス』(2003)、『雪団子』(2002)
 雑誌の表紙として、気張って描いていた時期の作品です。私も気に入っている作品達で、なおさらたかこさんの反応は嬉しいです。飾りたいと思って頂ける絵とは、本当に作者冥利に尽きますよ。

 東京は、色々なカレーの店があって、各店個性があって面白いですよ。

 またのお越しをお待ちしています。
Posted by 諸星ノア at 2007年01月29日 20:16
>なおたかさん
 勝川先生の作品をご存じですか。可愛くて味わい深い絵ですよね。先生の作品は、週刊連載には向かないですね。アシスタントを使って、大量生産の作風ではないですからね。

 先生は、マンガの仕事では生活が難しい・・・ですか。確かに、多作な人ではないので、難しい感じはします。マンガでは現在、『ビックコミックONE』(小学館)に連載を持っています。来月末に、新刊が出るそうです。

 私のH絵ですか。見ると、ガッカリされそうですが^^;。
Posted by 諸星ノア at 2007年01月29日 20:31

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