後半戦は、参加者からの、質問コーナー。
質問A)メカニックデザイナーになってなかったら、何になってましたか?
大河原「流れ流れて(メカデザイナーに)なったんでねぇ。奥さんの実家の近くの国立にタツノコがあったから、入ったし、(美術の)中村光毅(みつき)さんが言われて『ガッチャマン』のメカを担当しただけで、また背景描きに戻る予定なのに、そのまま中村さんの意向でそばにいられただけなんです」
質問B)ご自身がデザインした中で、実現させたいメカは、なんですか?
大河原「東日本大震災を経験してから特に思うんですけど、震災救助の、重機ロボットですね。あとは私の年齢もありますが、家庭内のロボットとかですか」
質問C)やりやすい玩具メーカー、やりにくいメーカーってありますか?
大河原「ダグラム(『太陽の牙ダグラム』1981年)や、ボトムズ(『装甲騎兵ボトムズ』1983年)のデザインをやる際、頭部のデザインがカッコ悪い、オモチャが売れないってスポンサーのタカラ(現タカラトミー)に評判悪かったんですけど、サンライズの創業者の一人がタカラの方で、その人が説得して下さって、デザインを通して下さったんです。なので、タカラさんです。やにりくいメーカーは・・・言えません(笑)」
質問D)本(『メカニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人』)の巻頭で、自身のデザイン、自選トップ10の中に、昭和シリーズではなく、平成版のヤッターペリカンとヤッターゼロが入ってる理由をお聞かせ下さい。
大河原「『ヤッターマン』は、完全な新作かと思ったら、同じことをやると。それで、昔のデザインから劇的に変えないでってことで、ペリカンには羽根をつけたりそういうところかな。『ヤッターマン』は、昔も今も、クレームは来たことないですね。平成版も、ワダアッコー(和田アキコ似のドロンボー・メカ)とか、思い切ったメカやったんですけど、読売テレビが間に入ってくれて、良かった。こういう作品は、みんなが見て、ニヤニヤしてくれれば、それで良いんです(笑)」
質問E)一番忙しかった時の仕事量は?
大河原「『ガンダム』、『ゼンダマン』、『ザ☆ウルトラマン』やってた頃が、一番忙しかったですね(共に1979年頃)。32歳くらい。10時くらいから18時まで仕事して。そこから22時まで酒呑んで。そこから3時くらいまで仕事。若いから出来たんですね」
質問F)実写作品のメカデザインはされないんですか?
大河原「ないですね。メジャーなの、やりたいんですけどね。そういうのは、河森正治に集中してる(笑)。まぁ60歳までは、アニメのメカデザインにこだわってやりたかったです」
質問G)『レイズナー』(『蒼き流星SPTレイズナー』1985年)のファンですが、制作の思い出話などお聞かせ下さい。
大河原「レイズナーは、紫外線で色が変わるプラ素材を試したいっていうバンダイさんの意向が先にあって、立ち上がった作品なんです。だから、ああいう頭部のキャノピーが大きなデザインになりました。私は商品の見栄えを考えて頭部を大きくデザインしたんですけど、アニメーターさんは、頭部を大きく描くのはカッコ悪くなるから、嫌がるんですよね。それで、現場との軋轢で苦労しました。キャノピーのプラ素材も、上手く色が変わらなかったですしね。ちなみに『ドラグナー』(『機甲戦記ドラグナー』1987年)とかも、東芝製の多色射出成形機をバンダイが使いたいということで企画された作品で、足の部分に(赤や青の)ラインを入れたデザインにしてます」
質問H)若いデザイナーで、有望だと思う人は?
大河原「若い人と交流ないから、名前分からないんだけど、石垣純哉かな(1967年〜/『新機動戦記ガンダムW』、『機動戦士ガンダムAGE』、『マクロスF』等)。でも彼にしたって、48歳?若手じゃないよね(苦笑)」
質問I )メカデザインされる場合、実用性と見栄え、割合はどうされますか?
大河原「アニメの場合、実用的なものなら、改めてデザインする必要はないんでね。例えばザクにしても、外に出た動力チューブなんてのは、実用的なことを考えれば、弱点をさらしてるもんですけど、あれで作品の世界観を表現しているんですね。ネジ一本までも、その作品世界を表現するのが、メカデザインだと思っています。そしてやっぱり、見てくれるお子様達の脳裏に残るようなデザインにしたいです」
ここで質問コーナーは、終了。拍手で、大河原さんをお見送り。
間を置かず、会場の外のロビーで、サイン会が行われる模様。
ぞろぞろと参加者が出ていくので、私も続きます。整理券番号順じゃなく、並んだ順番みたいです。
サインの様子を遠巻きに見ていたら、対象書籍の『メカニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人』だけって聞いていたのに、それ以外もう一点大丈夫ってことになっていた。なんだよー。
当日会場で、『大河原邦男Walker』(KADOKAWA)が売りに出ていたので、店員に、これを買ったらサインもらえますかって聞いたら、もらえませんって言ってのに。対応がチグハグ。
今思えば、尋ね方が悪かったのかな。対象書籍の他に、『大河原邦男Walker』にもサインもらえますかって聞けば、良かったのかな。
サイン色紙持ってきてるファンもいますしね。
私は対象書籍の他に、当日各席に置かれていた『大河原邦男展』のチラシにサインを頂くことにしました。
20分くらい待って、やっとサインを頂けました−。

↑大河原さんのサイン。
おそらく一生に一回だからなぁ、大河原さんにサイン頂けるチャンス。返す返す、『大河原邦男Walker』買っておけばよかったと思った私でした。
トークは、食うためにやって来たという大河原さんの、ざっくばらんと言うか、芸術じゃなく、職人的な職業感が炸裂する内容でした。
でもそこには、子供を楽しませたいという、彼なりの倫理観が感じられて、同世代の大人よりも考えが凝りかたまっておらず、未だに心が若いんだなって嬉しくなります。
大河原さん、楽しいお話、ありがとうございました!
※2008年版『ヤッターマン』から、ワダアッコーが登場する第8話、「おだいばテレビに潜入だコロン!」のダイジェストです(笑)。
ちなみに、ゆうこりんならぬ、ゆうこるんも登場(笑)。
ヤッターマン(ワダアッコ編)ダイジェスト
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