2015年06月02日

映画『天才バカヴォン 〜蘇るフランダースの犬〜』

 映画『天才バカヴォン 〜蘇るフランダースの犬〜』を観てきました。

 渋谷TOEIにて。

 以下、ネタバレありますので、未見の方注意です。


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↑『天才バカヴォン 〜蘇るフランダースの犬〜』チラシ。

 『天才バカボン』は、今の30代以下の若い世代にはピンと来ないでしょうが、40代以上には抜群の知名度を誇る、連続TVアニメであり、大ヒットマンガでした。

 のんびり屋でおつむの足りない小学生・バカボンと、彼の親父で、天才的なバカである、バカボン・パパの珍騒動。タイトルは『バカボン』ですが、実質的な主人公は、パパです。

 原作者は、あのギャグマンガの王様、赤塚不二夫。『おそ松くん』や、『もーれつア太郎』、『ひみつのアッコちゃん』など、ヒット作多数。タモリの生みの親でもありますね。

 そして、『フランダースの犬』と言えば、ベルギーを舞台にした児童小説『フランダースの犬』を下敷きに、1975年、日本アニメーションが制作した、これまたアラフォー世代には、涙なくしては観られない、連続TVアニメ。

 画家を目指す貧しくも、心優しい少年ネロと愛犬パトラッシュが、世間の誤解の連続で、報われない短い生涯を閉じる物語。

 最終回、アントワープの大聖堂に飾られた、ルーベンスの絵の前でパトラッシュと眠るように亡くなるシーンは、当時お茶の間の子供達を号泣させました(私もその一人)。

 この二つの作品を融合させる荒技を成し遂げたのが、「鬼才」FROGMAN監督(1971年、東京都板橋区生/44歳)。フラッシュアニメ、『秘密結社鷹の爪』で知られる監督です。

 脚本とバカボンのパパの声も担当。

 実は、FROGMAN監督の作品って、今回初めて観るんです。

 ともかく、笑った!

 そして、泣けた!

 『天才バカボン』を観ている世代なら分かると思うんですが、バカボンワールドの世界観を的確に捉えてます。

 バカボンパパの声は、前述どおり、FROGMAN監督が担当してますが、まったく違和感ないです。初代パパ役の、雨森雅司のキレに匹敵します。

 それと個人的に赤塚マンガの魅力だと思っていることに、ナンセンスな会話劇(言葉遊び的な会話)の面白さがあると思うんですが、それが見事に表現されてました。

 パパが例の調子でバカなことを言いまくり、相手がズッコケて、その会話のテンポが小気味良いので、ほんと笑ってしまいます。あのスピード感は、赤塚マンガのスピード感に似てるというか。

 と、同時にFROGMAN監督の肉体的なリズムなんだと思います。

 バカボンパパは、今作ではひたすら、西から太陽を昇らせることに努力し続けます。

 本作では、世界征服を企む暗黒組織インテリペリが登場。

 インテリペリ総帥ダンテ(声:村井國夫)は、森羅万象すべてを予知出来るコンピューターを動かしたいと思ってますが、それにはどうしても入力しなければならない「言葉」があった。

 それは、バカボンのパパの「本名」。

 そこでバカボンパパの本名を探らせるべく、ダンテは、実は天に召されず、人間への復讐を誓い恨みを抱えながら地獄へ堕ちたネロ(声:滝本美織)とパトラッシュを、現代へ召還!

 二人をバカボン(声:犬山イヌコ)のいる小学校へ編入させ、バカボンの友達にして、パパの名前を聞き出す作戦へ移すが・・・。

 ネロ&パトラッシュは、気の良いバカボン一家とすぐに打ち解けます。つかの間の、幸せをかみしめるネロ。

 しかし、クラスメイト達からは、実在しない、しかも19世紀の人物だとばれて、白い目で迫害される。

 やっぱり裏切られたかと、ネロとパトラッシュは龍の怪物に変化して、都内を炎を吐いて破壊し始める!

 バカボンは、それでも破壊を止めるようネロを説得し続けるがー。

 バカボンパパは、炎の中で、叫ぶ。

 「これでいいのだ。これで、いいのだーーー!」

 なんか、もうね、泣けて来ちゃいました。

 バカボンが龍になったネロに、最初から敵の回し者だったのは知ってたけど、友達になりたかったんだよって言う場面でも泣いちゃったんだけども。

 矛盾とか、恨みとか、どうしようもない感情とか、それでも、受け入れて、赦(ゆる)す境地。

 これでいいのだーー!

 パパが叫ぶと同時に、西から太陽が昇るという奇跡が!!

 憑きものが落ちたように、元の姿に戻る、ネロとパトラッシュ。

 そして、天使達が迎えに来る。

 パパも連れて行かれそうになりますが(笑)。

 そして、エンディング曲は、クレージーケンバンド「パパの子守唄」。

 歌詞の中にー

 人は不完全だからこそ
 その隙間を愛で埋めるのだ

 ってあるんですが、ほんと染みます。

 ネタバレしておいてなんですが(汗)ー

 全てを否定されまくってる、窮屈な気持ちになってる、絶望的な気持ちになってる・・・、そんな人達に見て欲しいなって思います。開放感を味わって欲しい!

 ほんと、バカボンワールドを見事に昇華した作品でした。

 これで、いいのだ!



※『天才バカヴォン〜蘇るフランダースの犬〜』公開記念、特別映像です。

天才バカヴォン〜蘇るフランダースの犬〜公開記念特別映像を公開!


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posted by 諸星ノア at 22:31| アニメ・声優など