2006年09月22日

疾走するイメージ、拡散していく作品

 岡本太郎美術館を後にして、小田急線向ヶ丘遊園から、特急で代々木上原駅へ。そこから地下鉄千代田線に乗り換え、表参道駅へ。

 夕暮れ時だったが、オシャレな街並み、颯爽と歩くビジネスマン、背の高い、外国人。美人でオシャレでセクシーなOLさん達。女性は本当に、フェロモン漂う感じで、思わず見てしまう。

 そんなオシャレで勝ち組溢れる街に、青山ブックセンターはある。早速横山裕一さんの作品展示スペースへと向かう。

P1040339-.gif
↑青山ブックセンターの告知ポスター。

 展示スペースは、長さ5mくらいの壁が二つ。そこに、B5のイラストボードが、40枚くらいダーッと整然と飾られている。一枚一枚じっくり描き上げたという絵でなく、走り描きのような、イメージを定着させただけという絵が、たくさん並んでいる。一枚あたり、15分くらいで描いたような感じ。どれも独特の光りを放っており、しかもその光りに、少し狂気を感じる。

 わき上がるイメージを、とにかく早く、たくさん描くことで、自分のイメージを世界に拡散させていくことを目的にしている風に感じだ。展示スペースには、棚があるのだが、そこにB3くらいのサイズの黄色いクリアファイルが、2冊置かれている。そこには、マンガの生原稿の切り取ったものから、カラーイラストまで、販売目的の作品が入ったファイルだった。なんというか、自分の作品を大切に保存するという発想はなくて、作品も色んな人の手に渡ることで、自分の世界を拡散させていきたいのかと想像する。

 私などは、自分の作品を切り刻むことなど、考えられないことだ。自分の分身、自分の思いがつまったものだから、ぞんざいに扱えない。しかし横山さんは、自分の作品というものを、守り保存するという発想がないのかもしれない。一端イメージを紙に定着させれば、描かれた作品に対するこだわりはなくなって、また次の作品、次のタブローに構想に意識が行くのではないか。

 疾走するイメージ。とどまらずに、次々と画面に定着させ続ける創作姿勢。生み出されたもの達は、人手に渡って拡散しても構わない。それらは、すでに過去のものだ。とにかく前へ、未来へ向かって走り続ける姿勢のようなものを感じた。

 せっかく直筆の作品が買えるチャンス。値段は、モノクロのマンガ原稿の断片が一番安くて、千円。一番高いので、2万円くらいだったかな。そこまでは手が出ないから、安いマンガ原稿を求めた。今回の展覧会『わたしたち展』は、横山さんの初のカラー画集の発売を記念して行われているのだが、画集は1冊六千円。手持ちがないので、これもまたの機会に手にしたいと思う。

 横山作品を買うと、もれなく描きそんじの生原稿がオマケでつくそうで、ラッキー。こうして私の手にも、横山さんの世界が広がった。

YY-genga1.gif
↑ゲットしたマンガ原画。

YY-genga2.gif
↑オマケの描き損じ原稿。
posted by 諸星ノア at 18:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 展覧会めぐり
この記事へのコメント

この記事へのトラックバック