『特技監督 中野昭慶』(中野昭慶/染谷勝樹著/ワイズ文庫)の発売を記念しての、中野監督のトークショー。聞き手は、共著者の染谷勝樹氏。
染谷「田中友幸さんはマージャンもお好きだそうで」
中野「田中さんと福田さんは、「マージャン・キ○ガイ」(笑)。仕事の打ち合わせなんかは、マージャンやりながらなんだね。2人は僕をカモにしようと呼ぶんだけれど、何故か勝っちゃう(笑)。ほんとは負けてやるのが良いんだけども(苦笑)。僕は中国で生まれて育ったから、マージャンパイは子供の頃からよく見てたんだ。福田さんは、(マージャンが)弱いから好きなんじゃないかな」
染谷「田中さんは、特撮の現場によくいらしていたんですが?」
中野「時々来ていた。何もしないで、イスに座ってずっと見ていたね。ヒマだったのかな(苦笑)」
染谷「田中さんは、リテイクをさせるプロデューサーとしても有名でしたね。プロデューサーは、予算内に映画を撮らせるのが仕事で、リテイクはさせないのが普通なんですが」
中野「そうそう。だからそれを利用して、田中さんに試写でささやくんだよ。「このままじゃ、ゴジラ泣くよ〜」とかね(笑)。そう言って、リテイクさせてもらった(笑)。『日本沈没』(1973年)のラストも、田中さんは気に入らなかったようで、クランクアップしてから追加で撮り直したんだ。『ノストラダムスの大予言』(1974年)も、ラストの総理の演説は台本になかったんだけど、田中さんの希望で入れたんだよ」
ーと、ここまでで、所定のトーク時間が終わり、質疑応答タイム。2名の方から、質問がありました。
A「監督された作品には、編集権はあったのでしょうか?」
中野「僕は特撮だけじゃ嫌だって、会社(東宝)にきつく言ってあったので、映画の企画の段階から制作に参加してました。当然、編集権もあった。(本編と特撮)2人の監督で作っているってことです。他の会社にはない方式だと思います」
B「中野監督の時代だと、これをどう撮るかという工夫が出来る時代でしたけど、今はVFXの時代で、CGで誰でも簡単に特撮が撮れちゃうます。それだと昔より作り甲斐がない気がしますが、どう思わされますか?」
中野「今は誰でもソフトがあれば映像が出来ちゃうから、どうやって作ったかじゃなくて、どういうイメージで作ったかが大事なんじゃないかな。今は同じソフトで作れば、出来た映像はみな同じ。もしオリジナルな映像にしたいなら、ソフトの段階から新たに作らないといけないから、それはそれで膨大なお金と労力が入るね」
ここでトークは終了。
続いて、サイン会。
サインは、すでに本にされているそうで、中野監督には、参加者の名前を書き入れて頂くという寸法。
名前を書き入れてもらいながら、気さくに談笑される監督。顔なじみのファンもいるようですね。

↑サイン会の様子。

↑頂いたサイン。
最後に中野監督を囲んで、合同記念写真撮影。
映画のクランクアップのていで、参加者が「中野組」のスタッフという設定の集合写真です。シャレが効いてますし、一人一人とツーショット撮影するより、早く終わるので、合理的でもあります。
撮影した写真は、この日配られたメアドに送信すると、写真が添付されて返信されてくるという段取り。
スタッフに寄れば、中野監督が最後にメガホンを撮った作品以来の、「中野組」クランクアップ写真だとか。
「クランクアップ写真は、みんな疲れ切った顔なんだけども、これはみんないい顔でね(笑)」と監督。
全員並んで、監督の「ヨーイ、ハイ!」のかけ声で、パチリ!
以上、興味深い話が聞けたイベントでした。
中野監督が質問に答えた言葉、「ソフトで誰でも映像が出来るが、出来る物はみな同じ」という指摘は、鋭い指摘ですね。誰でも出来るということは、出来る物もみな同じ。テクノロジーの落とし穴という感じで、工業製品ならともかく、創作に関する限りは、致命的になりかねないかもしれません。
中野監督、染谷さん、スタッフの皆さん、貴重な時間をありがとうございました!
ー中野昭慶監督トークショー&サイン会@書泉グランデ7Fイベントフロア その2〈了〉
※『メカゴジラの逆襲』(1975年/東宝)から、予告編です。
私は小学2年くらいで見たんですが、藍とも子演じる桂(かつら)が、サイボーグ手術を施される際に乳房が見えるんですけど、子供心に艶めかしく感じたのを覚えています。
というか、この映画の記憶はそれだけしか覚えていませんでした(汗)。
メカゴジラの逆襲
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